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渡邉邸の土蔵 -歴史を紡ぐ6棟の倉庫

渡邉邸の母屋と6つの土蔵は、1954年(昭和29年)から1978年(昭和53年)にかけて国の重要文化財に指定されました。現存する6棟の土蔵は、天明期から明治期にかけて建造され、約100年にわたる土蔵建築の変遷を今に伝えています。
かつての豪農屋敷には12棟の土蔵があったことが慶応3年の屋敷図から確認されており、現存する6棟は当時の繁栄を物語る貴重な文化遺産となっています。

土蔵の配置と設計の特徴

渡邉邸の土蔵は一見雑然と配置されているように見えますが、実は深い配慮が感じられる設計が施されています。この地方の豪農の家では、土蔵を一列に整然と並べるのが一般的でした。しかし、渡邉家では敷地内の一地点から5つの土蔵を一望できるような配置が取られ、実用性と景観を両立させています。

さらに、各土蔵はその役割に応じた設計がされており、収納する物の特性に合わせた環境が整えられています。特に金蔵は防犯性を高めるため、内壁全体が鉄格子で覆われており、その堅牢さから当時の貴重品管理の重要性がうかがえます。

現存する六棟の土蔵

米蔵

建造:天明3年(1783年)
昭和29年重文指定
豪農経営の基盤となる米を貯蔵した土蔵。江戸時代中期の土蔵建築を代表する遺構として高い価値を持ちます。

味噌蔵

建造:天明7年(1787年)
昭和29年重文指定
自家製味噌の製造・保管のための専用土蔵。天明期の生活文化を今に伝える貴重な建造物です。

金蔵

建造:19世紀中頃
昭和29年重文指定
内壁一面に鉄格子を備えた特殊構造の土蔵。江戸時代後期の防犯設備を現存する貴重な例です。

寶蔵

建造:明治初期
昭和53年重文指定
貴重品や文書類の保管に使用された土蔵。明治期への移行期における土蔵建築の特徴を示しています。

新土蔵

建造:19世紀中頃
昭和53年重文指定
幕末から明治初期にかけての土蔵建築様式を伝える重要な建造物です。

裏土蔵

建造:明治30年(1897年)
昭和53年重文指定
明治期の土蔵建築技術を示す遺構として、近代化への過渡期を物語る貴重な建造物です。

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